人はどこまで進化するのか ―自転車で遠くへ行きたい。―

 日本中を自転車で走り周った店主を突き動かしていた思いは、やはり遠くへ行きたい!でしたね。
 だからこの本のタイトルを見て、すぐに手に取りました。

 でも、そこに描かれる世界は、店主の走り周ったのとはまた違った世界でした。


自転車で遠くへ行きたい。
米津 一成
河出書房新社
売り上げランキング: 692
おすすめ度の平均: 5.0
5 ツール・ド・沖縄に行きたい
5 距離感の壊れ方が面白い。
5 「距離の壁」なんて本当はないんだ
5 ロングライドは楽しい
5 読むと走りたくなる…



 「自走派」の店主は、島に渡るフェリー以外は、交通機関に乗ることもなく、信州から大阪までの帰省も自転車で行くことが多く、そういう点では「距離感が壊れている」と言われたこともありました。
 でも、この本の著者、米津一成さんの距離感は、その距離もさることながら、「時間」の点でも壊れているという他ありませんねicon10

 それはやはり、ランドナーロードバイクの違いとも言えるでしょう。

 ランドナーは幅38mという太いタイヤを履き、キャリアや泥除けという空気抵抗の大きな物を付けているため、どんなにスピードを出そうとしても、1日200kmの行程は大変です。長期のツーリングなら、1日100kmが良いところでしょう。
 一度、広島での約束があったため、普通なら1週間かけて行く700kmを、1日200kmで3日半で行ったことがありましたが、はっきり言って2度とやりたくない。朝起きてすぐ走り始め、夜寝る寸前まで走るなんて、若かったからこその無茶でしたね。

 でもロードバイクだとそれも無茶ではありません。
 ロードバイクのタイヤ幅は20~25mm。あまりの走りの軽さに、ついついスピードを出してしまうのです。なので100km程度の距離では物足りなく、1日200kmくらいはすぐ走れてしまうんですねえicon01

 ただ、この著者の「壊れている」のは、その先の世界へ足を踏み込んだからなんですねえ。
 その世界については、ぜひ、この本を手に取ってご覧になってください。


 しかし、面白いのは、「ブルベ」というイベントで、同じ年に200km、300km、400km、600kmを走った人には「シューペル・ランドヌール」(英語読みで・スーパー・ランドナー)という称号が与えられるんですねface02