路側帯の通行 その2

その1を読む


 路側帯の通行について、車道と同じく左側を走りましょう、と書きましたが、さらに調べていくうちに、ママチャリさんがおっしゃったような、「路側帯なら左右は関係ありません。」という情報に行き当たりました。

diary広島市
 自転車の通行位置について

 この資料を読むと、道路交通法第17条の2に「左側通行」と書いていない限り、路側帯を通行する自転車は右側を走っても良いことになります。
 また、白実線2本の路側帯は歩行者用路側帯で、自転車を含む軽車両は走ってはいけないそうです。

 そして図解が示されているのですが、この図を見て背中が寒くなりました。

白実線1本の路側帯 この図は広島市のサイトから拝借しました。

 路側帯というのは、「歩行者の通行の用に」供するために設けられたもので、その幅員はまちまちですが、0.75mくらいのところが多いようです。それに対して、一般用自転車の幅は600mm以下(JIS D 9111)と定められており、交互通行するには1.2mが必要となります。
 それが0.75mの幅しかない路側帯で正面から出会ったらどうなるでしょう?

 ママチャリさんのケースの場合、ママチャリさんは右側を進行していますから、車道へ避ければ道路交通法違反となってしまいます。
 反対にロードレーサー氏は左側を進行していますから、車道へ避けても何の問題もありません。
 つまり、法律上はロードレーサー氏が避けなければならなかったことになります。


 しかし、ここで立ち止まって考えてみたいと思います。

 右側の路側帯を進行している自転車が、歩行者に出会ったときはどうすれば良いのでしょう?

 例えば、右側の路側帯を歩いている歩行者に追い付いた場合。
 自転車は歩行者の通行を妨げることはできません。また、右側を進行していますから、車道へ出ることは道路交通法違反となります。そうすると歩行者が道をそれるまで、歩行者の後ろを付いていく以外になさそうです。

 左側の路側帯を歩いている歩行者と正面から出会った場合はどうでしょう?
 出口がありませんね。自転車を降りて、歩行者対歩行者として、避けあうしかなさそうです。


 このように、法律は不完全で、それを守るだけでは自分の安全を守れません。

 『BICYCLE NAVI No.31 (JULY 2008) (31) (別冊CG)』の「疋田智の自転車多事争論」では、対面通行で、人は命を落とすと書かれています。

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 たとえば、片方の自転車が30km/h(ロードバイク)、もう片方が20km/h(ママチャリ?)としよう。正面衝突の場合、衝突スピードは30km/h + 20km/hで50km/h、追突の場合は、30km/h - 20km/hで10km/hとなる。エネルギーはこの相対速度の二乗に比例するから、この二つの場合、2500対100。つまり衝撃エネルギーは実に25倍にもなるのだ。
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 つまり、追突事故では死ななかったはずの人間が、正面衝突ならば死ぬのです。
 それを考えれば、正面から自転車が走って来ることが予想される右側の路側帯を走るというのは、自殺行為にも等しいのです。

 こんな事実にも思いをはせず、自転車の対面通行を黙認している行政にも問題がありそうです。


 法律の不備、行政の怠慢については、追求していかなければならないところですが、われわれ、自転車の利用者として、できることは何かと考えると、自分の安全を(そしてできれば他の自転車や歩行者の安全も)守るため、原則に忠実に、「自転車は左側通行」を守ることではないでしょうか。

※私は法律の専門家ではありません。一般市民として条文を読み、解釈しているだけなので、もしも誤りに気付かれた方はご一報ください。
 また、執筆時点の法令に基づいて書いているので、その後の改正により、異なっている場合もあります。


その3へ続く



TEAM KEEP LEFT
(2008/08/26 投稿)
(2010/11/28 更新)